旧タグ時代のミレーザックよ、もう一度。

本体左右それぞれ2カ所についたアタッチメント。
4つ開いた穴のうち、外側2カ所がサイドポケット用。
内側2カ所はストラップ用。 
サイドポケットの取り付け部。
開閉部は太い針金を使って、その弾性を利用していました。

ザック底部にも使われた強いターポリンでポケット本体に付いています。
ザック本体にサイドポケットを取り付けたところ。
ザック本体とサイドポケットに間があるのがおわかりいただけますか。
ここにスキーをつっこめました。

ヨーロッパを代表する総合アウトドアメーカーとなったミレー社。
アメリカから先進的なアウトドア用品がドッと流れ込んできた1980年代までは、ほかのザックメーカーに大きく水を開ける孤高のザックメーカーでした。

色使い、耐久性、背負ったときのバランスなどがとてもよいんです。
唯一バランスを崩していたのは、値段。
高かったですね。当時。

ミレーの個性がきわだっていたのは、とくにポリアミド布地の質感と独自の美しい発色、底部補強に使われたターポリン、ショルダーパッド付け根の大きな補強樹脂、そして独自のアタッチメント形状などでした。
これらの特徴からひと目で「あ、ミレー背負っている!」と遠目からでもわかったものです。
とくに旧タグ時代のミレーザックのアタッチメントのすばらしさについて以下に記します。

軟質樹脂でできたアタッチメントはザックの左右それぞれ2カ所にありました。
寒いなかでも硬化しませんでした。
経年劣化で加水分解することもなく、30年以上経つ今でも使えます。
ここには別売のサイドポケットをつけることができました。
サイドポケットをつけないときには、ストラップをとおしてテントのポールやスコップなど、いわば長物をくくりつけられました。

アタッチメントへサイドポケットをつけるしくみが絶妙なんです。
太い針金の弾性をうまく活かした付け外しのしくみになっており、しかもサイドポケットをつけてもザック本体とすき間ができるので、スキー板をつっこむことができました。今のファットスキーは無理かもしれないですが。

80年代なかばになるとミレー社はこの独自のアタッチメント方式をあっさりやめてしまいました。
私はこれほどよくできたアタッチメントの方法をほかに知りません。
願わくば、また復活していただきたい方法です。

って、ここまで書いてきて気がつきましたが、サイドポケットは昨今あまり使われないし、山でスキーやらないひとにはどうでもいいアタッチメントかも。