だれも教えてくれない子どものヘルメットの正しい着け方。

私たちの活動ではヘルメットを着用していただくことが多いんです。

沢歩きと磯歩き、瀬が多いところでのカヌーはヘルメット着用が必須、岩場歩きや活火山での登山では着用を推奨しています。

沢歩きと磯歩きでは、ヘルメットの種類は自転車用、スケボー用などなんでもいいです。
転倒による頭のケガを防ぎたいからです。
岩場歩きや火山では、クライミング用のヘルメットが「望ましい」です。
日常であんまり使わないから、買う動機づけになりにくいのですが…。

肝心なのはヘルメットの調整と着け方。
いままでおそらく数百人のお子さんがヘルメットを着けているのを見てますが、その99%の方がヘルメットの調整と着け方を誤っていることがわかりました。
その都度直していましたが、その時間をもっと遊びの正味時間に費やすことができるはずです。

写真をご覧ください。
ダメな例 : 集合時の状態
よい例

ダメな例と、よい例を記しましたが、どこが違うかおわかりになるでしょうか。

違いその1 (ストラップの位置)
ダメな例では、ヘルメット横のストラップが耳をおしつぶしていますね。
ヒンジ(黒い樹脂パーツ)の位置が上がり過ぎているのです。
よい例では、ストラップは耳を避けて耳たぶの真下で2本合わさっています。
この位置が、ヘルメットがずれにくいヒンジのベストポジション。
ヒンジがアゴの方まで下がっているのもまたダメです。
動いている間にヘルメットが大きくずれます。

ヒンジの位置を正しくすることで、ヘルメットの「ブレ」を予防できます。
写真では正しい例でもちょっと耳たぶが苦しそうなので、ヒンジをあと少し5mmくらい下に調整してあげた方がいいですね。

違いその2 (おでことヘルメットの位置関係)
間隔A →眉とヘルメットのふちの間の間隔
間隔B →額とヘルメットのふちの間の間隔
ダメな例では、ヘルメットが後頭部側に傾いている。
そのため、眉の位置とヘルメットのヘリの位置が遠い(A部の間隔)し、ヘルメットのヘリとおでこの高さの差が浅い(B部の間隔)ので、いわばおでこが丸出し。
前方向に転倒したときに、ヘルメットが役に立たずに前頭部を強打する恐れがあって危ない。

よい例では、眉の位置とヘルメットのヘリの位置が近い(A部の間隔)ので、おでこがヘルメットにしっかり隠れて万一のときでもより安全です。
そのうえ、おでこの位置よりもヘルメットのヘリが大きく出っ張っている(B部の間隔)ので、前方転倒時にヘルメットが顔のどこよりも先に地面に当たる可能性が高くなるので、鼻や前歯も守ってくれる可能性があります。

違いが分かったら、対策です。
対策はふたつあります。正しい調整と正しい着け方です。

【正しい調整
ヘルメットの調整部は2つまたは3つあります。次の順番で調整してください。
一度正しく調整すれば、そのあとはしばらくそのままでだいじょうぶです。
1 耳の横にくるヒンジの位置
2 あご下のストラップの長さ
3 後頭部の締め具によるフィット感
です。
1の耳の横にくるヒンジの位置はもうわかりましたね。耳たぶの真下ですね。

2のあご下のストラップは締めたあとに大人の指が2本入るくらいがよいでしょう。
写真のように締めたあとに、子どものあごとストラップの間に指を突っ込んでみればわかります。
子どもたちはゆるいのが好きで、指2本が入る程度の適正な長さでもいやがるのですが、そんなときは、だましだまし次第に適切に締めていってください。
たとえば子どもが見ていない間に1ミリずつ締め増していくとか(笑)。

3の締め具は付いているものといないものがあります。付いているものの方がよりフィット感が増します。だいたいダイヤル状の締め具ですが、締めていって自然にラチェットが重くなるところが適切な締め位置です。

【正しい着け方
おでこの方からかぶります。
大多数の方が後頭部側からかぶりますが、これだと着用したヘルメットが後ろ側に傾いて上記のダメな例のようになってしまいがち。

【目視で確認・頭を振って確認】
こんなんじゃ「だめよ、だめだめ」。

着用したら正面と横から確認します。
上の写真のようにおでこ丸出しのうえ、ゆがんで着用されたヘルメットはダメですよ。

つぎにヘルメットをつけたお子さんに、頭を前後左右に振ってもらってください。
もしヘルメットががたつくようでしたら、上記「正しい調整」からもう一度やり直してください。
子ども自身にも正しくフィッティングされたヘルメットの感じをよく覚えてもらいます。

それにしても、ヘルメットのフィッティングの仕方についてはメーカーが図解入りで説明書を入れたり、小売店でカンタンな説明をしてもらいたいものですねえ。

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